アラハシラガコケを38u植栽する場合と スギゴケを38u植栽する場合。 本工事は名古屋市桜通沿いの地上14階部分の屋上緑化になります。 アラハシラガコケを38u植栽する場合と 或いはスギゴケを38u植栽する場合。 客土は軽量土壌を予定していますが、コケを植栽するに当たって専用の客土等が必要に なりますか? 本工事は潅水設備を設置します。 御社の図鑑にアラハシラガコケは日当たりと暑さに弱いと書いてありますが 昨今の暑さの中で屋上緑化に使用して大丈夫でしょうか? アラハシラガゴケの代替として、スギコケを考えておりますが スギコケの方が日当たりの良い場所でも大丈夫と、図鑑でとらえたのですが。 ----------------------------------------------------------------------- お問い合わせの屋上緑化での素材としての苔植物について 屋上環境はあらゆる植物にとって厳しいものです。 屋上緑化の素材として好日性のスナゴケを植えられることが多いようですが 特に都市部の屋上で苔植物の定着には苦労されているようです。 苔植物は安定した半日陰と安定した空中湿度が栽培のポイントになります。 理想的なのは里山のような林の周辺で、 明るい半日陰で、あまり風の当たらない空中湿度が安定した場所です。 苔植物は根から水分を吸収しません。 散水で表土を湿らせるだけでは、そこから放出される水分が風で奪われてしまうと 苔は生育できません。 里山のような安定した環境が理想とするならば 施工される屋上の環境(日照、湿度、土壌)を安定させる工夫は必要かと思います。 スギゴケについて スギゴケの圃場は日陰が全くない炎天下で栽培しています。 直射光も当たりますから 炎天下では10万ルクスを越える厳しい環境です。 日照という点だけならば陽射しの厳しい屋上も同じですが、 東京の市街地ではスギゴケの定着は難しいと言われます。 これは排気ガスの影響や夜も温度が高いこと、夜露朝露が当たらないなど いろいろな原因が考えられます。 しかし京都の河原町のような交通量の多い場所で 植栽されたスギゴケがみられますから 「空気が汚れているから都会はスギゴケが育たない」という訳ではないと思います。 山苔アラハについて 日陰地で乾燥を好む(表土の乾燥であって、空中湿度は必要)山苔は 充分な日陰を作ればスギゴケよりは屋上での定着の可能性は高いかもしれません。 植え付けてまもなく葉の変色(褐色)が見られるかもしれませんが 生育できる環境であれば多くの場合は数ヶ月で葉色は回復します。 生育できない環境であれば、 そのまま回復せず枯れてしまいます。 名古屋の桜通の屋上という環境で苔が育つか まず苔が生育できる環境であるかを調べる必要があると思います。 桜通に植えられた樹木の根元に他の苔が育っているか。 蘚類(葉や茎がしっかりした苔)がみつかれば期待できます。 挿し芽箱やプランターにスギゴケや山苔を実際に植えて 一ヶ月ほど様子を見てみます。 厳しい環境であればすぐに変化が見られますし 一ヶ月たってもあまり変わらないようならば かなり良い環境です。 >客土は軽量土壌を予定していますが、コケを植栽するに当たって専用の客土等が必要に >なりますか? 種子植物は根を張って水分や影響を吸収しますが 苔植物は土壌の影響をあまり受けません。 岩ばかりのような場所に最初に生える植物が苔で、 そのような場所での剛健さは苔植物にあります。 しかし(屋上緑化のように)生育環境が厳しい場所ほど 土壌の善し悪しや散水設備の有無、日照の管理がコケの定着、生育に大きく影響してきます。 つまり湿度の安定した半日陰地であれば 多くの苔はわずかな土の上でもよく育ちますが、 厳しい環境であるほど土壌や場所を選びます。 (土壌が悪ければ育たない) また施工時に目土を蒔くのも効果的です。 効果的と言うよりは是非ともおこなって欲しい作業で、 植え付け直後ほど目土の効果はあります。