本日、送っていただいたスギコケ植え付けました。 そこで、昨日届いたものと最初に送っていただいたものの種類違うようです。 昨日届いたもの:さくがあり葉も大きく、茎の先端に葉が付いている。オオスギコケでしょうか? 最初に送っていただいたもの:さくがなく、少し葉が小ぶりで、茎の全長に葉が付いている。茎も密である。ウマスギコケでしょうか? 蒸れに強いということで、オオスギゴケを後から送っていただいたのでしょうか。 ----------------------------------------------------------------- お問い合わせいただいたスギゴケについて まず苔の種類については同じウマスギゴケになります。 一般にスギゴケという場合はオオスギゴケ、ウマスギゴケ、あるいはコスギゴケも含める場合がありますが、 生産商品としてはウマスギゴケとオオスギゴケの2種になります。 見ただけでは見分けがつかないため 集めた大量のたね苔を分類することはできませんから 最初のたね苔はこの2種類が混ざっていると思います。 このため他の生産地でもウマスギゴケ、オオスギゴケと明確に分類していないようです。 しかし長い期間圃場で栽培する内に(20年くらい)どちらかの苔が消えて ウマスギゴケかオオスギゴケの1種類に落ちついてきます。 モスプランが出荷しているスギゴケの圃場は10カ所ほどになりますが 最初の圃場で淘汰され残った苔をたね苔に殖やしており そのいずれの圃場もウマスギゴケの特徴がみられます。 サクについてはウマスギゴケ、オオスギゴケともに見られ、 新芽の発生からおよそ2年目ぐらいからよく見られるようになります。 前回切り出してから出荷までの年数でサクの発生も違ってきます。 同様に雄株(先に花のように付く)も殖えてきます。 スギゴケはその生育環境で草姿を大きく変えます。 この点についてはスギゴケのクローズアップなどで写真を公開しています。 例えば炎天下で散水もせずに育てたスギゴケは黄緑色で生育密度があり剛健ですが これを日陰において、毎日散水すれば一週間ほどで葉の色が濃くなりはじめ 一ヶ月ほどで幅は2倍になり,葉は細くなります。 出荷圃場が変わるとその葉色や生育密度、草姿、丈も変わってきます。 或いは同じ圃場であっても数メートル離れただけで その生育速度が全く違うことも普通にあるため、 同じラインで切り出しても丈や密度が全く違うことさえあります。 先週お送りした圃場と今回の圃場は別の場所になります。 圃場については前回までの出荷圃場がほぼ切り終わったため 圃場が変わりました。 苔丈が短く全身に葉がついている苔は 発芽からの期間が短い物で 丈が比較的長く、半分より上に葉をつけ 下半分が褐色化しはじめているものは 栽培日数が長いものと考えられます。 ウマスギゴケとオオスギゴケの見分け方について スギゴケの葉を1mm以下に切断します。 スギゴケは大きな葉なので カミソリでの切断は比較的容易です。 その薄板の横断面を300倍から400倍の顕微鏡で観察すると 一番先の部分が少し窪んでいるのがウマスギゴケで 窪みのないものがオオスギゴケになります。 普通に見ただけでは専門の方でも見分けは付かないと言われていますが、 圃場で長く管理していると「おそらくよその、この圃場はオオスギゴケだろう」 ぐらいは分かるようになるのが不思議なくらいです。 (このあたりにはちょっと自信があります。外れることもありますが・・・) もし顕微鏡観察に興味があればときおり博物館などで講習会も開かれています。 苔観察の講習・講義は案外と楽しくお勧めです。