コケについてのご教示をお願い致します。 室内で育てられる次のようなコケはありますでしょうか? ・日照が少なくても大丈夫 ・乾燥に強い ・乾燥(休眠)しても比較的緑色を保つ ・背丈が低い(大きな胞子体を形成しない) ・横に広がりにくい ・育てやすい ・緑色がきれい ・多年生/安定性定着者 ・入手困難でない ・胞子を飛ばしにくい ・胞子に毒性(アレルギーを引き起こす等)がない ----------------------------------------------------------------------- 苔にとっての基本要件は 安定した空中湿度と適度な日照です。 苔園芸では、日陰で水をたっぷり与えれば苔は育つというイメージがありますが 園芸で使われるコケの多くは比較的明るい場所(半日陰)を好みます。 また苔は根から水分を吸収しないので、 土をいくら湿らせても室内の空中湿度の影響のほうが大きくなります。 このため室内で、長く良い状態を維持するのは難しいこと考えて下さい。 定期的に屋外に出すのが室内管理のポイントになります。 その上で希望要件に近いコケとしては山苔がお勧めです。 山苔は杉や檜の根元の樹皮に自生するコケで、 杉林などで簡単に見つけることができます。 ・乾燥に強い  大きな樹の根元は雨が直接あたりにくく比較的乾燥していること。 (ただし林の中の空中湿度は比較的安定しています) ・日照が少なくても大丈夫  木の根元は直射光が当たりにくいことから、 ただし直射光が当たらない林の中でも1000〜3000ルクスくらいはあります。 室内では比較的明るい場所でも300〜500ルクスくらいです ・乾燥(休眠)しても比較的緑色を保つ  多くのコケは乾燥すると縮れてしまいますが 山苔は縮れが少なく、草姿を変わりません。 ・乾燥(休眠)しても比較的緑色を保つ 乾燥すると明るい緑色になります。このことからシラガゴケと言われます。 ・背丈が低い(大きな胞子体を形成しない) 丈が低く、胞子もほとんど見られない。胞子は秋に、まれに見られます。 ・横に広がりにくい 生育が遅いので、乾燥気味の環境であれば一回り大きくなるだけでも何年もかかるかもしれません。 ・育てやすい 苔の中では育てやすいコケです。 生育が遅いためちょっとした変色でも栽培をやめてしまう方が多いようですが、 多くの場合は数ヶ月で回復します。 圃場のポット栽培でも、水やりなどせず降雨だけで3年ほどで育ちます。 ・緑色がきれい コケの色についてはどんなコケでもその生育環境に影響されます。 日陰地では緑が濃くなり、明るい場所では黄緑色になります。 ・多年生/安定性定着者 ポット栽培では3〜4年栽培しますが、 10年ぐらい育てている山苔もあります。 ・入手困難でない アラハシラガゴケ、ホソバオキナゴケとも 通販で普通に入手できます。 ・胞子を飛ばしにくい 胞子はほとんど付けませんが まきゴケから育てて5〜10年ほどたたもののなかに まれに若干の胞子が見られることがあります。 ・胞子に毒性(アレルギーを引き起こす等)がない 胞子に毒性はありませんがアレルギーは免疫の問題になります。 とくになんら体に害のない物でも過剰に反応して(抗原が)抗体さんせいをおこなうのが たしかアレルギーだったか思うのですが、 これはその方の体質の問題で、 苔植物にアレルギーが認められるのであれば 近くからコケを排除するしかないかと思います。 急ぎお問い合わせへのお答えまで 2011.11.28