![]() ほとんどの苔はUで良く育つ |
日陰地、半日陰地、日向地、乾燥地、湿潤地と培地で栽培環境をつくる |
自生する場所(好む場所)の標高や土壌のpH、日照、湿度、培地を知ることは、苔を育てるのにとても役に立ちます。標高の高いところに自生するような苔は、園芸ではほとんど使わないと思いますし、多くの苔は酸性度を好みますから、あとの日照、湿度、培地の管理が苔園芸のポイントです。苔が元気に育つ環境つくりとは、日照、湿度、培地の組み合わせを意味します。 日照、湿度、培地の組み合わせで苔に適した環境をつくる 屋上緑化にスナゴケがよく使われます。好日性のスナゴケは炎天下の屋上でも良く育つだろうということで使われているのだと思いますが、日照と湿度、培地のバランスが悪いと順調な生育は難しくなります。 自生するスナゴケは郊外の河原の砂地にみられます。この場所をよく観察してみましょう。河原に樹木はなく、日陰になるのは周りの雑草の陰ぐらいで、夏は炎天下にさらされます。つまり好日性です。培地は砂や砂利の混ざった水はけの良い土ですが、河原ではあまり乾くことはないようです。そして川からの安定した湿度が、苔が生長する早朝に苔をびっしょりに濡らします。 スナゴケは陽が当たり乾燥してくると、体の水分を放出して葉を閉じ、日中の厳しい環境を耐えて過ごします。樹木のない河原は毎日朝露で苔を濡らし、日中は水分の放出を繰り返します。つまり苔の好日性とは、ひまわりのように炎天下で元気に育つという意味ではなく、陽が当たると短時間で水分を放出できる能力がある苔という意味です。 ではスナゴケを植える屋上の環境はどうでしょうか?多くは都会のビルに植えられます。都会では夜露、朝露で苔が濡れることはありません。強い風が吹いているため河原のような安定した湿度も期待できません。ヒートアイランド現象で温度は上昇します。スナゴケは葉を閉じて仮眠しているはずですが、こんな時にスプリンクラーで散水をしたらスナゴケは蒸れを起こしてしまうかもしれません。 実はスナゴケを含めほとんどの苔が日陰や半日陰でも良く育ちます。半日陰という厳しい競争の場所から、ほかの苔は生育できない河原に追いやられたのがスナゴケかもしれません。 このことを知っていれば植木鉢に植えたスナゴケ盆栽をわざわざ炎天下に置くことはしませんし、葉を閉じているときにの日中の水やりは害になると言うのも理解して頂けると思います。 湿潤で半日陰なら多くの苔は良く育つのなら、日照や湿度による苔の分類は必要ないか。答えはイエスでありノーです。たとえば鉢植の苔を半日陰に置いて毎日水やりができればどの苔も良く育つと思いますからイエスです。 しかし庭植の場合はどうでしょうか。木の根元は日陰で雨に濡れにくいため乾燥もします。このような場所にスナゴケや杉苔は適しません。日照時間の長いところには日陰、湿潤を好むヒノキゴケやコツボゴケを植えても育たないでしょう。室内もかなり乾燥しています。陽の当たる部屋もあれば一日陽が当たらない場所あります。これが苔園芸の難しいところです。 場所に合わない苔を定着させるのは大変な労力と時間を要します。スギゴケがどのお宅の庭でも元気に育つというものではありません。植える場所の環境に適した苔を選ぶ。それには苔の特性を理解する必要があります。 |
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日陰地・・・・・・日陰性 |
日向地・・・・・・好日性 |
半日陰地・・・・半日陰性 |
湿潤地・・・・・・湿性 |
乾燥地・・・・・・乾性 |
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