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照度計



■明るさは照度計を使って計ります。アクアテラリウム(水槽栽培)で苔を育てるとき、栽培用の蛍光灯やライトを設置します。このときにも苔に充分なライトが当たっているかを計ります。自生している場所の明るさを計れば、庭植でも苔に必要な明るさが分かります。


■ 明るさの基本 ルーメンとルクス

ルーメンとルクスはどちらも明るさを示す単位ですが、意味は違います。ルーメンは光源の明るさで、その光に照らされたところの明るさがルクスです。 先日 LEDライト(GENTOS SG−325)を購入しました。説明書によるとこの光っている部分の光源の明るさは150ルーメンです。壁の近くでライトを当てるとかなり明るく照らされます。この壁に当たっている明るさがルクスです。ライトを壁から遠くに離すと暗くなり(ルクスが下がる)、近づけると壁は明るくなります。もちろん近づけても離しても光源の明るさは150ルーメンで同じです。   苔園芸では苔に当たっている明るさを照度計を使ってルクスで計ります。アクアテラリウムで苔を育てるとき、まず室内の明るさを計ります。窓際を除けば室内は案外暗いことが分かります。そこで栽培用の蛍光灯やライトを設置します。このときに苔に充分なライトが当たっているかを計ります。もちろん苔が必要とする明るさは苔によって異なります。適した明るさは、自生地の明るさを計って調べます。

■ 明るさの感覚はかなり曖昧 半日陰の照度は何ルクス?

曇天の日は屋外が暗いので事務所の蛍光灯が明るく感じます。このときの事務机の明るさを計ってみると300ルクスありました。明るい事務所から外に出ると外の方が暗く感じますが、実際に計ってみるとなんと2000ルクスもあります。7倍近い明るさです。人の明るさに対する感覚がかなり曖昧なことが分かります。苔が良く育つという半日陰の照度も、実際に計測する必要がありそうです。その正確な計測をするのが照度計です。

■ 苔を観察し続けると分かってくること・・・・

多くの苔は木漏れ日が射すような半日陰地を適地としますので、半日陰地に植えれば取りあえずすぐに枯れる心配はありません。しかし、長く栽培を続けてみると、少しず苔が変化してきます。葉が大きくなって緑色が濃くなれば日照不足で水のやり過ぎかもしれません。苔栽培では、少し明るすぎるくらいの場所で育ってくれるのが理想です。複数種の苔を同じ場所に置いて長期間の観察を続けていると、それぞれの苔に適した場所や明るさが段々と分かってきます。   「この苔はここよりも少しだけ明るい方が良さそうだ。」 或いは、「苔Aは苔Bよりは少し明るい場所を好み、苔CはAとBの中間で良く育つような気がする。」 という具合です。      小さな面積で丁寧な観察ができるならば、照度計を購入するほどの必要はありません。なくても充分に苔を管理できます。しかし圃場や広い庭の場合は、場所場所で照度が大きく変わってきます。少し場所を変えるだけでもコケの生育に影響がでます。明るさの感覚など曖昧ですから、植え付け前に場所ごとの明るさを正確に把握しておくのは必要かもしれません。

■ ■ 山苔が炎天下でも育つ?  適正照度は場所次第

苔ごとに生育に適した明るさをルクスで一覧表示すれば説明は簡単なのですが、実際にはルクス表示で説明することはありません。なぜでしょうか?                    限界照度と適正照度       苔を栽培するうえで、「これ以上の明るい場所で栽培すると苔が育たない」というのが最高限界照度。或いは「これ以上暗いと苔は育たない」というのが最低限界照度とします。その間に苔がとても良く育つ最適な場所、或いは明るさがあるのですが、この限界照度や適正照度は場所によって大きく異なります。苔が育つには日照のほかにも気温や輻射熱、空中湿度、季節、風の通り、水やり、培養土、地域性(市街地、郊外、海辺、山間部など)、生育履歴なども影響するためで、他の条件が良ければ少々陽射しが厳しくても苔は育ちます。場所ごとに苔が育つのに適正な明るさも大きく違ってきます。場所によってどのくらい適正照度に違いがあるのかを、山苔(日陰性・乾燥性)を例に説明します。
   例えば山苔・アラハシラガゴケの場合
  ・ アラハシラガゴケの自生地は大きな桧の根元で、半日陰よりも少し暗い場所できれいに育っています。照度を計測してみると1000ルクス以下です。(右上の画像) 山の空中湿度や気温、照度はとても安定しており、山苔にとっては最高に恵まれた環境だと分かります。(しかしこれは苔を大変軟弱にしています。この苔をちょっと環境が厳しい庭に植え替えてもすぐに変色します。)
 ・ モスプランの圃場はどうでしょうか?ページトップの写真を見て下さい。モスプランの試験圃場の山苔ですが、このときの照度が83500ルクスもあります。また右三番目の画像はまきゴケ法で植えた山苔です。圃場では基本的に散水はせず、降雨だけで育てています。画像ではさらに炎天下に放置しています。この日の記録では10万ルクスを超えており、山苔にはかなり厳しい環境ですが、確実に山苔は生育しています。
 ・ 市街地の庭はどうでしょうか。ヒートアイランド現象や輻射熱、排気ガスの流入、乾燥化など、圃場と比べると厳しい環境が予想できます。このための散水設備や土壌の排水性を整え、遮光対策、日照調整をを施すなど、市街地では苔を守るような環境作りが必要です。炎天下に放置するなどとてもできません。<BR>

照度計を使う

・ 苔を観察し、照度計で計測を続けること    庭の明るさは場所場所で違います。木陰は時間と共に動きますし、天気でも明るさは変わります。木漏れ日なら陽の当たるところと当たらないところでも照度は全く違います。では照度計で何を計れば良いのでしょうか。                        苔を植える前ならば・・・・  まず庭のいろいろな場所を計測します。晴れの日や曇りの日、時間もかえて記録します。これで庭の場所場所の明るさが把握できます。           同じように近所で苔を見つけたら記録を取ります。苔の種類は問いませんので、雨の日も、曇りの日も同じ場所で計測すれば、その地域で苔が生育できる明るさが分かってきます。これを比較すれば庭のどの場所で苔が良く育つかの予想ができます。                        鉢植え、プランター植えしの苔ならば・・・・    鉢植え、プランター植えであれば植え付け後でも適切な場所に移動できます。この適切な移動場所を探すのに照度計が役に立ちます。                        苔は日照が強いと葉やけを起こしたり、苔が矮小化します。日照不足だと葉や丈が大きくなり、緑色も濃くなります。これを1m移動させるだけでも大きな効果が期待できます。その移動場所ですが、これを実際に計ってみると予想とは違うことがよくあります。小佐越農園では照度を計測して、1m単位で苔を移動させています。

照度計の使い方

まず、照度を記録する筆記具を用意します。記録するのは年月日、時間、天気、場所です。これに備考で苔の種類や生育状況などです。    はじめに計測する時のもっとも明るい場所の照度(最高照度)を計ります。反射光の影響もありますので、できれば周囲20mに建物や樹木などの何もない場所が適しています。晴天であれば10万ルクス以上になるかもしれませんが、その時点での最高照度を記録しておきます。次に目的の場所で計測をします。何回か計測して平均的な数字を記録します。100ルクス単位で充分です。これを日付や天気、時間を変えて記録します。                         天候や時間によって照度は全く違うわけですから、ただ苔の照度を計るだけでは他との比較ができません。最高照度を記録しておくことで、その日の天気や状況が分かります。必ず計測するときには最高照度を記録して下さい。