壁面への苔の定着
■発行日2012.09.15
■庭石に付く苔は好ましいもので、石や灯籠などに苔が付き始めると、庭全体の景観にも不思議と落ち着きがでてきます。岩の上で苔が育つのは、全体の空中湿度が安定しているからであり、苔が育つにはとても良い環境ということになります。
しかし市街地の庭で苔が自然に育つというのはまかなか難しく、また時間も掛かります。そこで始めに「たねゴケ」になる苔を庭石や灯籠の表面に固定してやります。このたねゴケを時間を掛けて育て、確実に定着させます。
石の材質と定着のコツ |
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植物定着用の石の基盤 |
表面がのものや窪みの無い岩への定着は難しいでしょう。植え付けるのであれば凹凸が必要ですし、ほふくさせたり定着させるにはた抗火石や火山岩のような多孔質なものが適しています。 苔の定着方法はいろいろありますが、固定してからの苔が動かないということがポイントです。例えば撒いたコケが降雨や散水での水圧で動いたり、流されたりしていては生育もできませんし、風が吹くと苔がめくれるようでは定着できません。とくに岩の表面はどんな植物にとっても厳しい環境です。しっかりと固定し、ある程度定着するまではあまり乾燥させないようにします。自然の降雨で育つよう水やりを控えます。
表面がつるつるの石でも接着剤を使って固定することはできます。しかしこれを育てるには周辺の空中湿度を高く維持しなくてはなかなか育ってくれません。多孔質な岩は、中に水分を蓄え、周辺が乾燥すると安定して水分を放出し苔を育ててくれます。 |
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苔を選ぶ |
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壁面のハイゴケ |
ブロック塀の上や石垣の間にスナゴケを見つけることがあります。簡単に剥がすことができますからブロックの上にのっているだけなのですが、これも定着のひとつです。また灯籠やつくばい、或いは壁面などの斜面に定着させるには、それに適した苔を選ぶ必要があります。ほふく性の苔で、岩にしっかりと密着するものや、表面の小さな凹凸でも育つ小型の苔が適しています。岩に窪みがあれば、土を必要とする中〜大型の苔でも移植することはできます。基盤となるそれぞれの岩や壁面に適した苔を、適切な方法で植え付けます。
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小さな窪みへの植え付け |
小型の苔に適した植え付け方で、ケト土や苔玉盆景土を窪み付けて、ヒロクチゴケ、ギンゴケのマットを押しつけて貼ります。はりゴケ法なので移植後の完成度はありまが、苔が環境に適応できないと全面が褐色化することがあります。ホースを使っての散水や、強い雨が当たると流されてしまうので注意します。必要ならば「ぷわぷわ」などの園芸用の不織布を掛けてやると効果があります。不織布はホームセンターで購入できます。
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岩の間や大きな窪みに植え付ける |
スギゴケやヒノキゴケのような大型の苔に適した植え付け方です。石組みの隙間や大きな窪みに移植するもので、基本的には鉢への植え付けと同じです。 保水性を持たせるためにミズゴケや樹皮培養土窪みに入れます。樹皮培養土で苔を包んで、そのまま窪みに植え付けるのも簡単です。画像はヒノキゴケ
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岩の表面へのはり付け |
粉砕した苔をケト土と混ぜて表面に塗りつけます。小型、中型の苔に適した植え付け方で、まきゴケ法と同じです。 火山岩や軽石、抗火石、天城石のような多孔質の岩に良く定着できます。コケの青い部分を細かく粉砕し、盆景土かケト土と良く混合し練り合わせます。岩の表面に擦り付けます。あまり厚く塗っても発芽数はそれほど増えません。強い雨が当たると土が流されてしまいます。移動できないような岩であれば、苔がある程度育つまで不織布を被せます。
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画像は素焼きの植木鉢と熊に塗りつけたもの このまま水やりをすると土が流れてしまいます。霧吹きで丁寧に散布し、不織布やビニールを被せて湿をたもつようにします。植木鉢ならば穴をふさいで水を入れておくと乾きません。 |
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壁面へのはり付け (あまり凹凸のない岩や垂直壁面 ) |
接着材(園芸用)やシーリング材を使って壁面に直接貼り付けるやり方で、ハイゴケやシノブゴケなどほふく性の苔に向いています。ここでは壁面全面に接着剤を塗るのではなく、青い苔に一つずつ接着剤で貼り付けるか、岩に少量の接着剤を付けて丁寧に貼り付けていきます。安定した湿度があればコケは広がるように生育します。
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接着剤をレンガに薄くべた塗りしました。 青い苔を丁寧に並べていきます。 |
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ほふく性の苔マットを貼る |
はりゴケ法で、マット状のコケを壁面に貼りつけます。水平に平らな場所であれば、マットをのせて固定してやれば苔は育ちます。斜面に定着させたい場合は、マット裏の褐色部分が壁面に定着しないので、マットの表(青い方)を壁面に固定します。褐色部分はハサミで切り取ります。 苔をペーパーで挟んだ商品がありますが、これも緑の面を壁面に貼ります。 壁面への固定には接着剤の他に、糸で括るなどして固定します。
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