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山苔アラハの植付


           山苔アラハの移植作業 樹皮培養土を敷いて苔を並べ目土入れします

■山苔(アラハシラガゴケ・ホソバオキナゴケ)植え付けのポイント
 山苔は長い年月をかけ、湿度が安定した涼しい林の中で厚く大きく育ちます。湿度、温度の安定した林に比べて市街地にある庭の環境はかなり厳しくなります。夏の都市部は異常な高温(ヒートアイランド)となり、昼夜を問わず気温は上昇します。厚みのある苔をそのまま庭に植え付けると、コケの中の水分温度も上昇し、短時間で蒸れを起こしてしまいます。
  大きな塊は小さく小分けし、厚みのある山苔は裏の茶色い部分を形が崩れない程度までハサミで取り除いて(切り落として)薄くします。苔は緑の先端が伸びるので、裏の褐色部分を取り除いても問題はありません。
 土壌の水はけを良くして、苔を薄くすることで不要な水分を残さないようにします。水やりは涼しくなった夕方にたっぷりと与えます。

@ 準備するもの
山苔

樹皮培養土

(無いときはピートモス、バーミキュライト、川砂を多めに混ぜた土を使います)

苔目土(特講・苔目土の作りを参照)

園芸ハサミ

スコップ

目土入れようの移植ゴテまたは土入れ器

A 庭植の培地つくり

 庭植の培地作り・・・・・                      根を張らない苔は培地や用土の素材にあまり影響はありません。しかし水はけが悪く、散水や雨ですぐに水が溜まるようなところは土壌の改良が必要です。硬く締まった土は良く耕します。砂やバーミキュライトなど混和すれば水はけも良くなります。
 鉢植えの用土つくり・・・・・
排水性がポイントです。鉢底石や大粒の鹿沼土、赤玉土を鉢の底に入れます。その上にプランター用に市販されている園芸用土を入れます。観葉植物などを植えないのならば肥料分は必要ありません。また小さい粒の赤玉土、鹿沼土でも園芸用土の代用になります。

B 山苔の塊を整形する

 厚いコケは裏の褐色部分を薄くカットします。大きな塊のものは小さく割って整形します。大きく厚みのある苔の塊は大きなスポンジのような状態で、必要以上に水分を吸収し蓄えてしまいます。このような状態で直射光にさらされたり、温度が上昇すると短時間でも蒸れを起こしてしまいます。また形を整えることできれいに植え付ける事ができます。カットのサイズは鉢植えならば3〜5cmくらい。露地植ならばこれより少し大きくてもかまいません。小さく割ってから、裏の褐色部分をハサミで取り除きます。形が崩れない程度まで切り取ります。  

C 表土に樹皮培養土を薄く敷き詰める
   樹皮培養土を表土に薄く撒きます。コンクリートやマンホールなどの上に植えるときは樹皮培養土を厚く敷いて下さい。苔を植える前に樹皮培養土は踏み付けたりして固めないように注意します。樹皮培養土が入手できないときは粗めのビートモスとバーミキュライトを混和したものを用意します。 植木鉢やプランターも同じで、樹皮培養土を1〜2cmほどの厚さになるように敷き詰めます。   樹皮培養土は水耕栽培にも使われる用土なので、すでに樹木や植物が植えてあるところに敷き詰めても、植物の生育を阻害することはありません。またコンクリートやマンホール、配水管などが下地にあってもこれを隠すことができます。下の画像はアンテナの配線がありヤブコウジが植えてあるところに樹皮培養土を入れています。樹皮培養土が入手できないときは粗めのビートモスとバーミキュライトを混和したものを用意します。

D 山苔を並べます
                          敷き詰めた樹皮培養土の上に山苔の塊を並べていきます。つよく押しつけたり埋め込む必要はありません。苔は1cm以上離すようにします。山苔は上に伸びるよりも、横に広がるように生育する方が早く、苔と苔の間に隙間がないとうまく育ってくれません。また密生させてしまうと必要以上に水を蓄えてしまい、蒸れを起こしやすくなります。
 隙間は1〜2年でなくなり、大きなマットに育ちます。
  右の鉢植え画像は 植え付けて3ヶ月目の山苔です。苔の塊に丸みがでて、形が整ってきました。

E 苔目土を入れる
苔の隙間に苔目土を入れていきます。手で撒いたり移植ゴテでも充分にまくことはできますが、広い露地への移植では画像のような土入れ器が重宝です。苔目土は標準の苔目土です。苔目土については「特講、苔目土」をご覧下さい。

F 踏み付け、鎮圧

目土を入れ終えたら踏みつけて鎮圧します。長靴のように靴底にかかとのある靴よりは、靴底の凹凸が少ないサンダルのほうが均等に鎮圧できます。静かに丁寧に踏み付けていきます。苔に厚みがあると、踏み付けて苔がひっくり返ったり剥がれやすくなります。苔が厚いようならばハサミで薄くします。

G 水やり

  苔目土、踏みつけでの鎮圧ができたら、丁寧に水やりをします。苔目土も安定し苔が剥がれにくくなります。日頃の水やりについて・・・もともと乾燥性の苔なので、長く湿りすぎた状態にあると密度が無くなり弱ってきます。土や苔が乾燥し、また降雨が望めないときなは夕方涼しくなってから水やりをします。朝や日中の水やりは避けます。特に夏の水やりは注意して下さい。

H 枯れたように白く変色をすることがある

苔は最低気温が10度以上あれば良く育ちます。東京以南であれば露地植は年中可能ですが、冬期の生育は期待できません。鉢植えやプランターは室内や温室、保温容器で管理できれば冬期の生育も期待できます。植え付けてしばらくすると、苔が白く変色することがあります。環境が変化したことで適応しきれないためです。その面積が大きいと植え付けが失敗したとあきらめてしまう方も多いようです。山苔は案外と強く、かなり酷い状況であっても多くの場合は回復します。目地に薄く目土を入れて、回復するまでの水やりは少し多めにします。変色の程度にもよりますが早ければ数ヶ月、或いは1年ぐらいかけて徐々に回復してきます。     左の画像は秋に植え付けが終わった庭です。中央左側が少し白色に見えるのは、変色しはじめた苔を植えたためですが、翌年の梅雨ぐらいには回復します。